生態写真の撮影 How to take pictures in the field

野外で、動きが早くサイズが小さいハエ、アブ、カの写真を撮るためには、そこそこの機材と慣れが必要です。

ただ何十万円もする機材は必要なく、数万円程度の機材でそれなりの生態写真は撮れます(凝りだしたら話は別です)。

 

ここでは私が主に使用している機材を中心に解説します。

 

※マクロ撮影は、ピントが合う範囲が非常に狭い、手ブレが起きやすくなかなかまともな写真にならない、など、カメラ初心者にとっては非常に難しい側面があります。以下の内容は、そのことを踏まえた上でお読みください。

 

PanasonicのLUMIX DMC-FZシリーズは、サイズが小さく高倍率で、マクロレンズを先につけると非常に使い勝手がいいです。このシリーズでなくても、高倍率(おおむね8-10倍以上)のズームが出来、なおかつレンズ先端にレンズフィルターを付けられるネジ切りがある機種であれば、手軽なマクロ撮影ができます。

 

レンズはRaynoxのマクロコンバージョンレンズが、画質もそれなりによく、手頃で使用しやすいです。DCR-150、DCR-250、MSN-202、MSN-505などの倍率が異なるレンズが有り、ステップダウンリングを使用してレンズ先につけると扱いやすいです。付けるレンズによってステップダウンリング径が異なるので注意が必要。一番倍率の高いMSN-505では、目一杯拡大すると2-3mmの被写体が画面いっぱいに映ります。その代わりピントの合う範囲が極めて狭く、どこに被写体があるかすら見極めにくくなります。

 

またより安価なものとして、レンズフィルターのようなサイズのクローズアップレンズというのもあります。1枚1000円くらいで買えるものもありますが、 色収差が出やすい(輪郭に赤や青の色が滲む)ので、あまり小さい被写体は綺麗に映りきりません。

 

薄暗い日陰などではフラッシュを使ってシャッターを切らないと、手振れと昆虫の動きでほぼ間違いなくブレブレの写真になります。しかしフラッシュをそのまま当てると、被写体の質感がつぶれてしまったりするので、ディフューザーをシャッターに付けます。市販品でもいいですが、私はフィルムケースを切ったものを差し込んでつけています。他にクリアファイルをカットして貼る人もいます。

 

いずれにしても、ディフューザー有りと無しでは写真の仕上がりが大きく変わってきますので、カメラに合わせたものを付けることをおすすめします。

撮影例

ダニに寄生されたユスリカ科(Chironomidae)。細かい部分の描写力は一眼や本格的なマクロレンズには及ばないが、翅縁の細かい毛も映り、実用に耐えるレベル。
ダニに寄生されたユスリカ科(Chironomidae)。細かい部分の描写力は一眼や本格的なマクロレンズには及ばないが、翅縁の細かい毛も映り、実用に耐えるレベル。
ハモグリバエ科(Agromyzidae)。この写真はディフューザーをつけていなかったため、翅に光が反射しすぎている。
ハモグリバエ科(Agromyzidae)。この写真はディフューザーをつけていなかったため、翅に光が反射しすぎている。
マドガガンボ Tipula nova (ガガンボ科)。体長が大きい場合、マクロレンズをつけていると拡大されすぎて全体が入らないこともある。また低倍率で撮ると、画像の四隅が黒くなる(ケラレ)。
マドガガンボ Tipula nova (ガガンボ科)。体長が大きい場合、マクロレンズをつけていると拡大されすぎて全体が入らないこともある。また低倍率で撮ると、画像の四隅が黒くなる(ケラレ)。
ハナアブ科(Syrphidae)。これはクローズアップレンズNo.4を使用。低倍率のものからトリミングしているため色収差は少なめだが、もっと倍率を上げて撮影すると一気に目立つ。
ハナアブ科(Syrphidae)。これはクローズアップレンズNo.4を使用。低倍率のものからトリミングしているため色収差は少なめだが、もっと倍率を上げて撮影すると一気に目立つ。