いつの間にか啓蟄も過ぎて四月になりました。
なかなか研究活動に時間を割けていないため、このサイトの更新も滞りがちですが、時間をつくって少しずつ更新したいと思います。
まずはフィールドに出て(もともと大して無い)勘を取り戻すところから始めようと思います。急がず焦らず、というスタンスでやっていますが、あまりにブランクが空くと戻すのが大変になりそうなので、できるときに少しずつ取り組みます。
あ、そういえば毎年恒例の博物ふぇすてぃばる、今年も出展できることになりました。パワーアップしたブースを作ろうと例年になく気合いが入っています。多くの方にお会いできるのを楽しみにしています。
きたる平成28年10月15日(土)に、福井県自然保護センターで、以下のセミナーを開催します。
自然保護セミナー「コケを見分けよう」
http://www.fncc.jp/event/6447.html
会場は、美しい苔庭で知られる平泉寺白山神社です。
コケについての予備知識がない方でも、コケの魅力を感じられるセミナーにしようと思っております。私も、コケの一愛好家として、みなさんと一緒にコケの観察を楽しみたいです。
事前申込制ですが、10月8日現在、若干の空きがあるようです。コケに関心のあるかたもないかたも、ぜひご参加をご検討ください。
私は市街地で生まれ育ったので、身近にある自然といえば、公園や都市型河川など、「管理された」自然が中心でした。自然度の高い森林や田畑がある光景は、親戚の家に行くときや旅行などでしか触れることはなく、私にとっては非日常の世界でした。
そのため、自然度の高い環境で生まれ育ち、そうした光景を日常のものとして感じていた人とは、自然観が少し違うように感じることもあります。
ただ、自然豊かな環境が日常だからといって、自然を慈しむようになるかはまた別の問題かもしれません。虫がたくさんいて嫌だった、遊ぶところがなくてつまらなかった、と、自然豊かな環境にマイナスイメージを持つ年頃の世代もいることでしょう。逆に私は、身近にそうした自然がなかったがために、たまに見る多様な生き物に憧れを抱き、生き物へのかかわりや環境保全を大事にしようと思っています。
貴重な環境が日常すぎると、その大切さがかえって見えないのかもしれません。事情は違うでしょうが、熱帯雨林に住む民族などでも似たようなところがあるような気がします。
おそばせながら、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
さて、去年の暮れに日本産アシナガバエについての新しい論文が出ました。
O.P. Negrobov, T. Kumazawa, T. Tago, O.O. Maslova 2014. Two new species of Paraclius Loew, 1864 (Diptera: Dolichopodidae) from Japan with a key to Palaearctic species. Caucasian Entomological Bulletin, 10(2): 311–316.
日本産 Paraclius (キラメキアシナガバエ属)の2新種 (P. japonensis, P. variegatus) と1新記録種(P. argenteus) を記載。うち2種は、田悟(2010, 2012)で記録された学名未確定の種です。
いずれオープンアクセスになるはずの論文ですが、現時点ではまだ公開されていないので、PDFが必要な方はご連絡ください。
昨年はミギワアシナガバエ属 Thinophilus の論文も出版でき、少しずつアシナガバエの分類が整理されつつあります。しかしまだ不明種は数百種ほど見込まれており、標本を整理しているだけでもざくざくと未記録種が出てきます。
他の属についても順次論文を準備していますが、先はまだまだ長そうです。
本年も、少しずつ日本のアシナガバエの実態を明らかにしていきたいと思います。
このホームページはjimdoというサービスで作成していますが、Jimdo for Android というスマートフォン向けアプリがリリースされたので使ってみました。ちなみにiOS版はすでにあります。
このブログ記事もそのアプリで編集していますが、最低限の編集をする分には使えそうです。
画像なども挿入できるので、ブログ更新には特に使えそうです。最初どこからブログ記事を追加するのか分かりにくいですが、左上のアイコンから進めば大丈夫です。
本サイトは多数の情報や文献、写真を参照しながら更新しているので、PC と同じ勝手では編集できませんが、ちょっとした更新はスマホからでも行おうと思います。
以上、テスト投稿をかねて。
「みんなで作る双翅目図鑑」の種リスト(http://furumusi.aez.jp/wiki.cgi) がなくなっていた。
Internet archiveに古いバージョンのバックアップが残っているものの、消えてしまっているページも多いようです。
ただ、日本産昆虫目録(双翅目編)の改訂版編集がかなり進んでいると聞いていますので、そちらが出版されればアップデートされるでしょう。とはいえインターネット上で参照できるという利点は大きいので、何らかの形で手軽に利用できると望ましいと思います(何かお手伝いできることがあれば、やってみたいところです)。
あと、双翅目談話会のページ(http://diptera.jp/)がリニューアル準備中のようですので、そちらが充実することも期待しています。
はなあぶ誌に、吉田(2008)をはじめとする「兵庫県の双翅目」という一連のシリーズがあり、そこで兵庫県産の双翅目についての記録がまとめられつつある。しかしまだ記録が不十分な科も多数あり、採集調査とともにさらなる文献調査が必要と思われる。
私も兵庫県民の端くれなので、図書館などで折に触れて兵庫県産種の記録がないかなどをチェックしているけど、結構入手が困難な文献も少なくない。
もしかしたら兵庫県産双翅目の記録があるかもしれない文献で、未入手・未調査のものをリストアップして備忘録としておく。
『宝塚昆虫館報』(1-79号)
『但馬文教府昆虫標本目録』
『姫路市植物昆虫目録』
『伊丹の昆虫』正・続
追記
『豊岡高等学校昆虫標本目録』
「中国山脈東端の昆虫相・昆虫目録」(『東中国山地自然環境調査報告』173-231)
以下は昆虫以外に重きを置いている可能性も高く、あまり期待できないが一応載せる。
『有馬郡生物誌』
『扇ノ山周辺の動物』
樋口繁一『丹波の生物』
ほとんどはインターネットではかすりもしない文献。室井棹(1974)『公害・兵庫県の生物 : 兵庫県生物変遷史』という本で兵庫県の生物研究史に触れており、そこで言及されている。まず所蔵を確認したいところ。
参考:吉田浩史 (2008) 兵庫県の双翅目1.概要 はなあぶ 26 69-78
友人経由で、現在(14/4/14)予約申し込み中のスマホ顕微鏡、Leye(エルアイ)の試作機を頂いたので、使い心地などレビューしてみます。
Leye - スマホ顕微鏡(公式)
スマホ顕微鏡 Leye|エルアイ(Appbank Store)
http://www.appbankstore.jp/products/detail.php?product_id=10197
今回は愛媛大学でした。前日入りしてちょっと見て回ったものの、4月とは思えんくらい急激に寒くなって、小雨も降ってて、Dipteraがかなり少なかった。キノコバエとかガガンボとかくらいで、ぎりぎりオドリバエが少し。
環境自体はよさそうなので、また暖かくなったら来たい。
今回はご好意で、某学会誌のバックナンバーとかいろんな別刷りとかが無料配布されていたので、帰りの荷物が大変なことになった。でもほしいのもあったので非常に有難い限り。
総会では、市毛さんが紹介されていた Field cage mating という採集法が気になった。同一種と思われる個体をまとめて採集し、網カゴの中に放って、その中で交尾している雌雄を吸虫管で分けて採ることによって、雌雄ペアの標本を得るという試み。
もちろん交尾しているからといって100%同種とまではいえないものの、Dipteraは♀が未知の場合も多いので、このアプローチによって雌雄の組み合わせの確定が進むことが期待される。
今回号のはなあぶ誌はかなり分厚いので、読み応えがありそう。前から話は伺っていた大石さんのイエバエ科の記事では、亜科までの絵解き検索もついて、日本のイエバエの副読書として活用されそう。ちょっとは手を付けにゃいかんなこれは。
懇親会でもいろいろお話を伺えて刺激になった。比較的若手もいたので、膜翅目に負けじと双翅目も盛り立てていきたいところ。
記載論文を書く上で身に着けざるを得ない技術の一つに、作図技術があります。他種とのちがいをわかりやすく図で表すことで、文字だけでは伝わらない情報が論文に含められます。
分類群によって描かれる個所は異なりますが、双翅目の場合は全形・翅・触角・交尾器などが多いです。特に交尾器(ゲニタリア)図は無くてはならないレベルで、ほとんどの種の記載文に付与されます。
その作図技術のレベルによって情報が正確に十分に伝わるかがかかってくるので、ないがしろにできないところです。絵師に依頼することも珍しくないとか。私も自分でやってみて、慣れないとろくな絵が描けないことに危機感を覚えているところです。原稿は表向き急がされていませんが、早く出したいという気持ちでつい焦ってしまいます。
そこで本記事では、そんな日々のクールダウンを兼ねて、さまざまなタイプの記載図をとりあげて眺めてみようと思います。作図のヒントがあるかもしれないですし。
ちなみにトップ画像は1922年の文献にあった交尾器図。当時の論文ではこのような簡略的な図も珍しくありません。このようだった図は、顕微鏡技術や撮影技術の進歩とともに、より詳細・精緻になっていきます。
つづき⇒
今アシナガバエ科の某属について、共同で論文を準備しています。
日本から記録された種がゼロの属(sp.はある)で、むろん新種も出る予定です。
私はもともと植物屋ですが、分類屋ではなく生態屋だったので、記載論文は読んだことはあれど書いたことはありません。
でもひょんなことから、共同で論文が出せそうな状況になり、さらにこっちで調査していた標本の中に、記載できそうな種が混ざっていたということで、新種記載のチャンスが降ってわいたので、やらせていただくことにしました。
植物ではなかなかそんなことはありませんが、昆虫ではやる気とタイミングと興味さえあれば、新種を出すこともそこまで困難じゃないことを痛感しています。2、3年前までまともに虫を採ったことがないような私でできるのですから。
ただもちろん、独学なのでそこまですらすらといけるわけはありません。まず形態用語が正確か、見ているところが合っているか、正直まったく自信はありませんが、これを機に勉強させてもらっていると思っています。交尾器の入り組んだ構造を正しく把握できてるかも怪しいので、形態学の教科書とか一回ちゃんと読もうかと思っています。
もともと双翅目に手を付けた時の最初の目標は新種記載だったので、それは今年中に達成してしまいたいです。次は第一著者で新種記載かな。最後には日本産アシナガバエ科レビジョンとかかな…生きてる間に終わるかな…
ニッチェ・ライフ(Niche Life)は、早川昌志氏(神戸大)と共同で去年創刊した無料オンライン生物雑誌です。
脊椎動物や昆虫(特にチョウとカブト・クワガタ)、観葉植物など、メジャーな生物が扱われる雑誌は数あれど、そこからはみ出した多種多様な生物のことを広く扱う雑誌は見当たらない。なら自分で作ってしまおうというのがきっかけでした。
当初、あらゆる生物の図鑑やデータベース的な役割をもったサイトを構築し、その一部として発行するものとする、という構想もありましたが、あまりに壮大すぎたので、とにかく一度雑誌として出すことになりました。
ちなみにここでいう雑誌は、学術雑誌と一般向け雑誌を合わせたもので、ニッチェ・ライフはどちらの役割も担える雑誌となるのが私の理想です。
おおまかな目的や理想としては、
「一般にあまり知られていない生き物の生態や種類を広く紹介する」
「研究者・愛好家の調査研究・観察結果などを発表する場として活用される」
ことを通じて、いろんな生き物に関心を持つ人を増やし、さらにはその人たちが独自に調査や研究に加わることで、学問的な発展に寄与する、というのがあります。
まだ始めたばかりで、認知度もない状態ですので、どうすればこれを進められるかを少し考えています→
明けましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。
このサイトを立ち上げたのが去年2月ですが、それから約1年、つまみ食いのように更新をしていったところ、作りかけコンテンツがあちこちに残ってしまっているので、今年は順次つぶしこんでいきたいです。
特に、科の絞り込み、各科概説、それに各科の解説ページを早めに仕上げていきたいところです。自身の勉強をかねて作っており、あまり詳しくない科も多いため、間違いや不適切な個所があれば、随時ご教示いただけると幸いです。
あとはメインのアシナガバエ科コンテンツの拡充も進めていきたいです。私がメインで編集委員を務めるニッチェ・ライフでも、紹介記事などを用意したいと考えております。
いろいろと個人的にも動きがあり、今年は去年より活動量を増やして行けるかと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
やりたいことが多くて忙しそうですが、楽しみながらやっていければと思います。採集行けてないな…。
備忘録的やりたいことリスト(サイト関連以外で適当に)
・アシナガバエ標本情報整理
・報文か論文投稿(できれば新種記載まで)
・あの幼虫の捜索
・論文情報集約方法の確立(DB化?)
・ニッチェ・ライフ活性化
・その他生き物がらみのプロジェクト(あれば呼んでください)
生物の学名の読み方はいつも迷う。
今まで英語読みのことが多かったけど、最近人と話をしているとラテン語読み寄りの発音をされる人が多かったので、ブレが出てきてます。
私はDolichopodidae(アシナガバエ科)をドリ(Doli)と略していましたが、ドリコ(Dolicho)と略されることもあるようです。その属のDolichopusも、ドリチョパス(英語風)と呼んでましたが、話の中ではドリコップス(ラテン語風)と呼ばれることが多いようです。
植物についてがメインですが、学名の読みに関してはこのサイトが良くまとまっていて読みやすいです。
本サイトの解説ページを作るときに一番ネックになるのは、写真や図がなかなか用意できないことが多いというところです。
まだ双翅目に関心を持って日が浅く、稀な種どころか普通種の写真や標本もあまり持ち合わせていないので、ライセンス的に使用できる画像を多数利用しているが、それも限界がある。引用という形で、古い文献などから拝借していることもある。
まず概説や同定資料を増やそうと、手が付けやすい種数の少ない科のページなども増やしつつありますが、それこそ画像が手配しづらいものが多いです。写真提供依頼の方法もそろそろ考えたいところ。
最近は調査目的で自然史博物館にもお邪魔しているので、そこでいろんな種の標本を閲覧しようと思えばできるけど、標本の写真撮影に関してはどういう扱いになるのかな…?
採集のメインシーズンが終わって、標本の交尾器の作図などに着手しています(写真は某種のオス交尾器)。
Twitterでつぶやいたように、製図に関してはこのサイトを参考にしています。トレーシングペーパーを使っているなど違うところも多々ありますが、同じピグマのペンを使うなど、基本的には近いやり方です。
(需要があれば解説ページも作りますが、内容が被るので今のところ予定はありません。)
製図用のペンを買い足そうと東急ハンズに行ったところ、ラッション(ぺんてる)のペンを発見し、0.03mmからそろっていること、値段も安価(157円)、安定して細い線が描ける、などよさげなので買ってきました。
なんでもデジタルになる時代ですが、まだ紙とペンを完全に越えてはいないと思っています。必要に応じてアナログを取り入れていきます。
・台湾は昔日本領だったため、古い分布資料では、台湾に産する種を「日本に産する」とされている。それを孫引きされている場合、カタログ等でも日本産のままにされている可能性があるので注意(双翅目談話会での指摘)。
・論文PDFを見比べる時には、Adobe Readerでは不便なので、Windows 8付属のリーダーやPDF X-Change Viewerのようなタブ式のビューワーのほうが便利。でもWin8のリーダーは5本までしか同時に開けない。結局紙に印刷して使う方が便利な局面が依然として多い。
11/2 なまけっと(東京)
生き物グッズを制作している生き物好きが集まる素敵なイベントでした。
ブース・交流会でいろんな方とお会いして、どういう生物・グッズに興味を持つ人がいるのか、色々と参考になりました。
双翅目を売り込むのも不可能ではなさそうという感じでしたが、いくつものハードルを越えていく必要がありそうです。かっこいいを目指すかかわいいを目指すか。トラツリアブぬいぐるみストラップは可愛い系で良かったです。
購入物としては、シマエナガマグネット(昆虫大学)、クラゲTシャツ、オジロアシナガゾウムシピンバッジ、古生物ストラップなど。
来年の関西なまけっと、博物フェスにも期待。
11/3 双翅目談話会関東同定会(埼玉)
双翅目に手を付けてからというもの、一度は行かねばと思っていた会に初参加。人の標本を見るのはとても刺激になります。学名で話が通じるって良いですね。もっといろんな科に手を出してみたくなります。手に入らない文献が多いのが難点…。
名前しか知らなかった方々にもお会いできて、今後の活動の幅も広がりそうです。とりあえずあの博物館に行かねば。
ほしかったハナアブ300も購入できて満足。次の会誌に報文くらい出せるようにしたいところ。
生き物好きが生き物グッズを持ち寄って展示即売を行う生物系創作イベントである生きものまーけっと、略してなまけっとというイベントに参加します。2013/11/2、つまり明日です。東京・浅草橋です。
友人が主催するミクロ・ライフというブースにて売り子等をしている予定です。電車の都合で朝早くはいないと思われるので、主にお昼以降の方よろしくお願いします。
ちなみに双翅目グッズは、用意できる余裕がなかった+需要がなさそうだった+ブースの趣旨から若干ずれる、という理由で取り扱っていません。ただし双翅目Tシャツの見本品を展示、というか着て行きますので、興味のある方は声をかけてください。
ちなみに出品コストがかからないので、意味もなくClubTにて通販しております。よろしくどうぞ。
先日、アシナガバエ科の1種 Tachytrechus rubzovi を、日本と極東ロシアから記録した報告文が出版され、共著者の一人として名前を入れていただきました(業績リスト参照)。
内容の大部分は第一著者であるロシアの研究者によるところですが、野良でも英語論文に関わることができる例の一つになればと思ってます。
そもそもなぜ共同研究しているかは、話せば長くなるので割愛しますが、野良でも結果を発表する方法の一つとして、専門家と組むというのは一つの手ではあります。ただ、利害関係が一致しないとかなり難しいので、どんな研究分野でも出来るわけではないと思います。
とっかかりとして、専門家と協力して業績を積みながら、独力でも研究結果を発表できるようレベルアップできるのが理想形の一つですね。大学の教授と学生のような関係を個人的に築き、指導を受けながら独立研究者として巣立つというところでしょうか。
本当に限られた分野でしか厳しいかもしれませんが、生物学の一部分野ではこれまでも行われてきたことです。
少なくとも研究はアカデミックな場でしかできないという思い込みを捨てて、どういう形で研究ができるか各々が試行錯誤しないと、非職業的独立研究者は増えないでしょう。
研究機関に所属していない独立研究者にとっては、研究結果をまとめてどこで発表するかが問題の一つです。
もちろん職業的研究者であっても同じだろうけど、所属がなければ掲載される論文も掲載されなくなるだろうし、英文誌なら投稿料・英文校閲料も馬鹿にならない。
手近な同好会誌・研究会誌には出せても、それなりのインパクトがある雑誌に載せることができるのか。研究機関に所属していない著者がどれくらいいるか、昆虫学分野で少し調べたけど、査読ありの雑誌では、一線を退いた名誉教授のものくらいしか見当たりませんでした。
単に無所属で査読付き論文レベルの研究結果を出せる人がいないだけかもしれないけど、無所属研究者の研究の質が疑われるのは避けられないのではないでしょうか。
生物学においては、分布の新記録や生態観察など、ちょっとした研究結果の積み重ねが研究を下支えしています。昆虫学では各地域・各分類群に特化した研究会誌が多数ありますが、そこに留まリ続けている間は、アマチュアのレベルが頭打ちしてしまうのではないかと感じることもあります。
今のアマチュア研究者のレベルが低いというわけではなく、むしろ高いほうだと思っていますが、野良研究者でないと難しい研究で、プロ並みの成果を出す人がもっと出てきてもおかしくないんじゃないかと思っているので、あえてこういう表現をしています。なお「野良研究者でないと難しい研究」というのは、地味で予算が取りにくい研究、特定の地域に根差した研究などを想定しています。
無所属研究者歓迎の、開かれた学術雑誌の存在は、これから求められていくんじゃないかと思っていますが、現状では、逆に趣味で研究をしようと思う層の減少も大いにあり得ると思っています。どちらに転ぶか。
早いところ検索表や各科概要は完成させてしまいたいと思っているけど、抱えている与件が片付かないと本腰入れられなさそう。年内に長角亜目が終わるかどうか。
どっちかというと長角のほうが苦手なので、自分の勉強も兼ねて作っている。この検索表で本当にどれくらい科に落とせるのか不安もあるけど、できるだけ正確に、でもわかりやすいものを目指していきたい。
しかし短角亜目は数が多すぎてかなわないな…。
日本では、大学や研究機関は、国の科研費や学振といった研究資金を申請して研究費を得るのが一般的だ。
では野良研究者が研究資金を得る方法はあるのか?
各種民間の助成金などを見ていると、個人や一般団体の研究に資金を提供している団体もある。たとえば自然保護系では、プロ・ナトゥーラ・ファンド、コープこうべ環境基金など、別に研究機関でなくてもNPO法人や個人が助成を受けている例も見られる。地域のファウナ・フロラを調査して出版するための予算をそれでまかなっているような例も多くはないがあるようだ。
他の分野についてはあまり調べられていないが、そういう助成金の公募を頼るだけでなく、研究対象をキャラクター化してグッズ等で売り出す、マラソンに出場して寄付金を募る(iPSの山中教授など)、等々、一般から広く研究資金を集める例もある。
どちらにしても自分を売り込める才能がなければ、研究者を続けていくのは難しいのだろう。
「○○研究家(者)の××です」と名乗る人にまともな研究者がどれくらいいるかという話。あとメディアによってその手の肩書がつけられている人で、真に研究者たり得る人がどのくらいいるか、信用性はどうかという話。
自称できる肩書は胡散臭さがつきまといやすいです。その最たるものは自称アーティストだと思いますが、肩書を担保してくれる機関に所属していないというのはマイナス要素が多いです。無数にいるそういう自称○○について一人ひとり検証してるほど世の中暇じゃないし、なら信頼できる所属先があるかで判断するというのは、弊害もあるけど合理的でもある。
アーティスト、研究者あたりは、職業というか生き方でもあるので、名乗るのは勝手と思ってますが、ある程度影響力を持ちたいと思えば、やはりそれなりの業績がないといかんでしょう。研究者面というのが一番たちが悪いので、常に自戒しているところです。
勝手に野良研究者なんて言葉を作ったり使ったりしてますが、趣味的に研究(広義の)をしてる人は、なんだかんだ隠れて存在してるんじゃないかと思ってます。本人は研究と思ってなくても、周りからすれば立派な研究者ということもあるんじゃないでしょうか。
たとえばデイリーポータルZなどで、調査系・実験系の記事を書くライターさんの中にも、「研究」の定義を広くすれば研究者といえる人もいると思っている。そうでなくても、テーマ的には十分研究になりえることをしている人は思いのほか多くいると思う。あとは科学的な手法を用いて結果を発表さえすれば、立派に研究者と言えると思うけど、そこが大きなハードルかもしれない。
野良研究者ってどういう人のことを言うのか考えてる。
1. 大学や研究機関に所属してない
2. 研究を趣味(ライフワーク)としている
3. 研究結果を公表している
研究対象は何でもいいと思うし、公表方法は必ずしも論文でなくてもいいと思う。呼び方も「独立研究者」「兼業研究者」「野生の研究者」(ニコニコ学会)など、いろいろありえる。
あとは何を「研究」として定義するかによって大きく変わってくる。でもいずれにしても、あるものを消費するだけのフォロワーは研究者たりえない。まだないもの、わからないものを世に出す存在でないと研究者ではないと思う。
本ページ内にブログを開設してみました。主に生物がらみのことを書いていくかと思います。使い勝手を見ながら様子見で。
あなたもジンドゥーで無料ホームページを。 無料新規登録は https://jp.jimdo.com から