生き物に触れる日常・非日常

 私は市街地で生まれ育ったので、身近にある自然といえば、公園や都市型河川など、「管理された」自然が中心でした。自然度の高い森林や田畑がある光景は、親戚の家に行くときや旅行などでしか触れることはなく、私にとっては非日常の世界でした。

 そのため、自然度の高い環境で生まれ育ち、そうした光景を日常のものとして感じていた人とは、自然観が少し違うように感じることもあります。


 ただ、自然豊かな環境が日常だからといって、自然を慈しむようになるかはまた別の問題かもしれません。虫がたくさんいて嫌だった、遊ぶところがなくてつまらなかった、と、自然豊かな環境にマイナスイメージを持つ年頃の世代もいることでしょう。逆に私は、身近にそうした自然がなかったがために、たまに見る多様な生き物に憧れを抱き、生き物へのかかわりや環境保全を大事にしようと思っています。

 貴重な環境が日常すぎると、その大切さがかえって見えないのかもしれません。事情は違うでしょうが、熱帯雨林に住む民族などでも似たようなところがあるような気がします。